富士市環境自然マップ

富士市の自然

富士市の自然環境・生物

 富士市にはどんな生物がどんな分布をしているでしょう。生き物には生息・生育に適した環境がありますから、分布する生き物を通して富士市の環境の特性を概観することができます。
 富士市の地質や地形を支配しているのは、言わずと知れた富士山の存在です。富士市の北側に火口を持つ富士山は、南に向かって緩やかな斜面の裾野となって海岸平野まで続いています。新富士火山の溶岩流の表面はクロボクと呼ばれる火山灰層で覆われ、農林業にとって大切な土壌が広い面積を占めています。茶園が見られる範囲の上部には、ヒノキの植林地が落葉広葉樹林を圧倒して広がり、暗い林になっています。クワガタムシやカブトムシがたくさん採集できた明るい雑木林は減ってしまいました。勾配の緩やかな裾野や平野部には潤沢な地下水を使うパルプ工場などが古くから進出し富士工業地帯を形成しています。周辺の農地は市街化が進行し、緑地の割合は減り続けています。
 これと対照的に富士市の東側には浸食が進んで険しい地形の愛鷹山麓があり、西側にはさらに古い地質の山々が迫っています。ミンミンゼミはこれらの山地や岩本山でだけ鳴き声が確認されました。また、ネズミ類などの哺乳類調査で愛鷹山に珍しい種類の確認地点が集中したことから、愛鷹山が富士山よりも古い歴史を持つ山であることが分かります。西側の山地を縫って南に向かって流れる大河川富士川は、河口辺りで扇状地と、東の沼津まで伸びる長大な砂浜を作っています。海浜には松林が連続しています。
 富士山の地下水は標高50m付近の吉原湧水群などから湧き出し、水の豊かな平野部を形成しています。水の湧く周辺の場所にはゲンジボタルが見られます。海浜との間に広がる浮島原という名の湿地は圃場整備によってパイプライン化され近代的な水田地帯へと変貌を遂げています。そのため、昔は群れ泳いでいたメダカやフナ類は今や珍しい魚となり、トノサマガエル、ツチガエルなども激減しています。
 潤井川と沼川はそれぞれ違った水辺の景観を作っています。感潮域の広い沼川には、葦が茂りアカテガニやクロベンケイガニが多数生息しています。
 墓石に着く地衣類の調査から、市街地において昔より大気の環境が改善されていることが分かりました。しかし、ツバメの巣の調査やセミの抜け殻調査などから、市街地の自然度は低くなっている可能性が示されました。

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